インテのエンジンマウント開発物語
エンジンマウントを作ろうと思ったきっかけ
インテグラのエンジンとミッションは5個のマウントでボディにとまっています。いくら「タイプR」と言うスポーツモデルでも、純正は乗り心地を良くしエンジンの振動がボディに伝わるのを防がなければいけませんね。そんなわけでインテグラも柔らかめのエンジンマウントが使用されています。
でも、やっぱりスポーツ走行をするなら、純正のものではやわらかすぎるっつーことで、強化品を入れるわけです。通常のサーキット走行などでは「スプーン」のマウントが良いでしょう。しっかりした動きと、ストリート使用時の振動もストレスを感じない適度な固さが魅力です。
しかし、これが競技になると話が違って来るんですねぇ。
硬くすればするほど良くなるDC2インテグラ
そのうちそんなクラスを知らないひとが出てくるのでしょうが(笑)、2002年まではジムカーナやダートトライアルでは「A車両規定」と言うナンバー付き車両がメインでした。2006年現在で「SA車両」がほぼその規定のクラスです。当時の規定は軽量化し放題、エンジン内部を除き改造し放題だったのです。
そのときのエンジンマウントは「ジュラコン」という材質を削りだし加工してオリジナル販売していました。ジュラコンは半端な硬さではなく、5箇所ある内のマウントの2つがとまっていればエンジンが傾かないほどでしたから、そりゃもう40kmも出せばラジオが聞こえ状態になる、とんでもなくうるさいものでしたが、ほぼエンジンが直接マウントされているような状態なので、補強をしていないボディでもエンジンが補強を一役を担って、ステアリングやアクセルにまさしくリニアに反応するので、一度つけたら外せないエンジンマウントでした。
その後2003年に「N車両規定」にジムカーナとダートラが変更になりまして、「エンジンマウントは支点と材質を変更しなければ交換可」とエンジンマウントの規定も変更になりました。もちろんジュラコンは純正と材質が違いますので、使用することができません。
ここから私たちの3年間に及ぶ試行錯誤が始まったのです。ここから長いですから興味がない方は見ない方が良いです(笑
N車だったら何使う?無限製
まずはジュラコンと同じようにオリジナル製作を模索しました。簡単に「硬いゴムの固まりをジュラコンと同じように削れば良いだろう」と考えたわけです。しかしそこで終わっていれば、すでに3年前にオリジナル製品が出来ているわけで(笑
この削るのは寸法の精度がでないので×でした。マウントブラケットの中で少しでも動くと削れてそのうちガタが大きくなってしまうのです。
またオリジナル製作を考える裏で、製品化されているものも検討しました。まず無限(今は同じものをスプーンが出しています)。
ゴム硬度は65度から70度ぐらいで金額も3万ちょいと安い。これが使えればベストなのですが、ゴムが硬くても形状が純正とまったく一緒なので、強大なセミスリックのグリップでは力不足でした。トラクションがかからないのは(良くないけど)いいとしても、ブレーキングやアクセルオンのエンジンの振れでドライブシャフトが折れまくる(苦笑
どれだけ、ラフなクラッチ、ブレーキとアクセルワークだよって感じですけど。そんな操作でもジュラコンは良かったんですよね。ホント
じゃあこっちは??A社製
ジムカーナの定番A社さんのエンジンマウント。(おそらく)純正マウントにゴムを流し込んでいるので、動きは規制されていて硬くなりました。しかしどうも期待の動きにならない。
ちなみにA社製のマウントは5箇所のマウントのうち4箇所しか入っていません。間違えか??とおもったらそうじゃない(笑
インテグラの助手席側前の上の部分は通常のゴムマウントではなく、液混入タイプのエンジンマウントで、内部が空洞になっていてそこに液体が入っています。(↓これの部分ね)
これで(おそらく)振動をボディに伝えないようになっているのですが、中が空洞なのでここを作れないと言うわけです。
でもね。インテグラの場合エンジンのメインマウントである、ここの部分を強化しなきゃ、全然意味無いと思うんですよね。
で、無限に「ここの部分だけ強化品で出ませんか?」と言うとそれは無理と言う。A社だけじゃ「完全強化」にならない訳ですよ。これお客さんに売れないジャン。
まあ、それでもその時無限のマウントを持っていましたので、私のインテにはA社のマウントと無限のマウントを組み合わせて使っておりました。
それなら小細工してみよう!!
なぜ助手席前上部のところが肝だと言い切るかと言うとですね、一個一個ジュラコンに交換してゴム&ジュラコンで走ったことがあるんですよ。これを業界では「テストによって得られた実戦的ノウハウ」と言い、興味のない人は「車おたくのマニアな実験」と呼びます(爆
その結果、助手席前上部が一番効いたんです。下の3箇所(特に後ろ側)の方が効くか。。。と思ったんですけどね。つまり振動を防ぐ液体は競技ではまったく意味が無いと思ったんです。
そこから私の「助手席前マウントチューニング」が始まります。まずA社に「分解不可」言われていたので、ゴムに穴を空けて、中にシリコンゴムを注射器で注入しました。果たしてシリコンゴムが「材質変更」の規定に合うかどうかは判りません。でもA社がOKならうちもOKぐらいの勢いで(笑)やってみました。
結果===全然ダメ。
まずシリコンゴムが固まっても強度が無い。フニャフニャなんです。それに加え。今まで液体が入っていた空洞の中では硬化しないことが判明。4本の走行でドライブシャフトを2本折りました。それも助手席側。
今から考えれば、ラフな運転の奴がテストすると、わかりやすくて良いですね。だって、すぐ壊してかえってくるもん。
ゴムの固まりを詰め込む!
エンジンマウントが動くからいけないんでしょ?それなら隙間って言う隙間に無理矢理くさび状にしたゴム(←ゴムにこだわっているところがまじめだよね)をねじ込み。接着剤の変わりにシリコンゴムを注入しました。
結果=少しはましだけどやっぱダメ
まあ、多少は良いかな?ぐらいにはなったけど、やはり液体が入っていたところに強度が出ない。
ホントに分解できないのかぁ??
だってさぁ。中に液体を封印しているんでしょ?分解出来なきゃ作れないじゃん。・・・と今更気づいたバカな私。よーく見てみると、アルミ製のブラケットとゴムの間にスチール製のカラーが入っている。
お!これが圧入されているのでは??
早速カラーの部分を押してみると、分解できるではないか!
嘘つき!A社!!!
ついでにそこにもゴムを詰め込んで、シリコンゴムで接着!期待を込めて圧入し直します。
結果=まあそれなり
無限のマウントをいれたぐらいにはなりました。意味無いジャン!!この段階で穴を空けて壊したマウント3個と詰め込みでダメにしたマウント1個。
でも分解できることが判ったのは大きな収穫です。材質をもうちょっとかんがえればなんとか行けそうな雰囲気!こうなってくるとおもしろくなってくるんですよね。
材質選定いろいろ
かといって、そんなの詳しい訳じゃないですからね。みんなに聞きまくったり、調べまくったり・・・・。
そんなある日ホームセンターで見つけたのが「靴のゴム底修理材」でした。ゴム!ゴムですよ!!エンジンマウントと材質が同じゴムかは知りませんが、ゴムだし!!ということで、お店にある分全部買っていきました。
早速マウントを分解し中に混入。柔らかいので奥までしっかりはいりそう。しかし・・・・
これがなかなか固まらないんですよ!!
蒸発硬化型だったので奥の方が固まらない。塗装と同じですね。薄く塗っていかなければならないわけです。
で、やり直し。薄く塗っては固めて、薄く塗っては固めてを繰り返す。これで2週間。やっと全体に行き渡りました。
結果=これは使える!
これはだいぶ良い感じです。しっかり感が出ている。シャフトも折れなくなりました(←注:運転が丁寧になったのかもしれませんんが)
ここで次の問題が発生しました。A社のマウントを外したときに「なんだかいつもより多く動くな」と思ったので点検すると、外からは判りませんが中の方で純正ゴムと詰め込みゴムが剥がれて、軸が動いてしまっているのです。つーかこれじゃもっと意味無いじゃん。
振動ばかり伝わって強い力に耐えられないのでは無いか?と思ってしまう。
ここまで1年。1年で壊れてしまうマウントってどーなの??
それなら全部を靴修理材で
時間はかかるけど、靴修理材ならしっかり感がでると言うことで、これなら無限のマウントを買ってもらって加工すればお金はそれほどかからないと思い、全部を靴修理材でやってみました。
結論としてしばらくはこの仕様が一番良かったです。でもA社と同じように無限マウントと接着しないため、最初の1年は固めてそのまま。メンテナンス時に剥がれたゴムを接着すると言う手間をかけなければなりませんでした。
この方法はプライベーターにはお勧めの方法です。手間はかかるけど安いしね。ちなみにこんな中途半端な製品なので自社メンテの車両にしか取り付けていません。だって絶対に剥がれるもの。
やっぱり外に堂々と売れる物を!!
このマウントを作っているときにいつも思っていました。「こんな壊れることを前提にした商品を売って、はたしてお客さまは満足してくれているのだろうか??」とね。
まあ売るときには「無限のマウントにちょとの手間代をもらえれば作ってあげるよ」的な雰囲気なので、ぼったくっては無いと思っていたのですが、段々NEXTの仲間が増えてくると「オールメンテナンス」のお客さまではない方も増えてきます。
そういう方にも戦闘力があり耐久性で満足ができる商品を提供できたら・・・と言う考えは常にありました。
まあ自分の車をそのたび治すのもめんどくさいっていうのもあるし・・・。
で、また「オリジナル製作」を模索したのです。いろいろな方法を考えていろんな所に「作ってくれないか?」と聞きまくりました。一番高いハードルだなと思ったところは「エンジンマウントは車の重要な部品なので、問題が出たときに命に関わる可能性があり、補償の問題を考えると手を出しづらい」というところ。
全然考えていなかった・・・・(汗
北は山形から南は鹿児島まで作ってくれるところを聞きまくって、出来たものがこれ↓
アルミブラケットと前側2箇所を特に重点的にテストしました。ほとんど一個一個手作りなので価格は高くなってしまいましたが、1年間シリーズと練習とタイヤテストとブレーキテストと・・・を合わせて自走を含めて2万キロを走って改良した最終モデルですので、たぶん(爆)大丈夫。
純正のゴムを一切使用せずに一から硬度#90で製作しました。ジュラコンほどとはいきませんが、それに近い性能と、今回は「静粛性」をもちょっと考えてみました。
それでもやっぱりうるさいけどね(笑
















